2020年2月16日(日)日本ギター連盟ユベントスのギターコンサートに行ってきた

思い出のヤマハホール…

しかし2月10日は、日本ギター連盟ユベントスのギターコンサートがあり、前々からとても楽しみにしてチケットも買って、この日を待っていた。(…こういうことって素敵ね!)

プレーヤーは、池田慎司さん、大橋俊希さん、酒井良祥さん、坂場圭介さん、多治川純一さん、橋爪晋平さん、林祥太郎さん、藤澤和志さん、前田司さん、松澤結子さん、松本努さん。もちろん、全員がギタリストで、この日は全員がクラシックギター。

いずれも素晴らしい方々…だった。個人的にお知り合いの方も何人かいたのだけど、生演奏を聴く機会はあまりなかったので、今回はそれも楽しみだった。

一つ一つの楽曲も興味深く、また個性の全く違う方々が一同に会して様々な音色が次々と続くのにも興奮して、あっという間に時間は過ぎてゆく。素晴らしいギターの音色に身をゆだねて、幸せだなぁ…と、心から感じていた。

圧巻は、池田慎司さんのアレンジによるブラジル風バッハ第4番、11人による演奏だ。まさか、とは思っていたけれど、4番は4楽章から成っている。これを11人で、全員で⁉ 一体どうやってやるんだろうと興味津々だった。でも、本当に素晴らしかった。楽しかった。終わった瞬間に、もう一度聴きたい、せめて第4楽章だけでも、と思ってしまった。

池田さんに聞くと、今回11人による11パートに分かれていたそうだ。それで池田さんのパートは全体の演奏のバランスを聞きながら、毎日違うところを弾くことになってしまったという。すご…っ。それでリハーサルはたったの3日とお聞きしている。

この曲は、第一楽章、第二楽章では地味に静かに暗く低く、夜明け前のような感じで始まって、途中で(第4楽章の始めかな?)ポリリズムのようなのも入っているし、ヴィラロボス独特の「カオス」も十分に入っている。混沌のなかにも、“うねり”のようなものがあって、ヴィラロボスのファンとしては、それがたまらない。

11人のみんながヴィラロボスが好きというわけではないだろうし、この不思議な楽曲を理解できないまま演奏することもあると思う。そのあたりはわからないけれど、「合わなくてもいい」ようなことがヴィラロボスの楽曲には大切にされているような気もしているから。それより大切なこと…、例えば音楽が躍動しているとかいうことだ、音色が際立っていること、リズムが立っていることとか…。うまく言えないけれど。

だけど11人、全員がギターで、この前代未聞の試みをやりきるには、もちろん、人の音を聴きながら合わせたりうねったりしなければ。誰のどこのサインをみて、どうやって演奏を続けるのか、どうやってこの楽曲が成り立とうとするのか、こんなに上手な方ばかりで集まって、私にはわからないことだらけなのだけれども、必死で探ろうとしてしまう。

ほんと、いったいどうやって成り立ったのか。池田さんのアレンジ(アレンジというのかな、ディレクションというのが正しいのでは?)は素晴らしかった、聴けて良かった。勝手ながら、この会が定例なら、この曲は毎回やって育てていって欲しい、もっと良くなる、という気もした。

音楽をやっている友達と出かけて、とても楽しい夜だった。何よりも、11人の演奏家の音楽に向かう姿勢、そして音に、尊さを感じて、励まされた気がした。遥か遥か彼方まで続く大きな音楽の河の流れの中で、今日はまた、沈んだり浮かんだり流されるままに。眩しすぎる光のきらめきの水面を見ていた。